日本と中国、韓国の3カ国による対話の歯車がようやく回り始めた。
シンガポールを訪問中の福田首相が中国の温家宝首相、韓国の盧武鉉大統領とそれぞれ会談し、さらに3首脳の話し合いが行われた。今後、外相などさまざまなレベルで3カ国が協議する場を設けていくことで合意した。
長くたれ込めていた霧が晴れたような印象である。小泉元首相が靖国神社参拝を繰り返したことで、中国、韓国との関係は極端に悪くなっていた。安倍前首相になって改善の兆しが見え、それがいよいよ軌道に乗ってきた。
3カ国で話すべき課題はたくさんある。北朝鮮の核開発や拉致問題、地球温暖化対策をはじめ、将来の東アジア共同体をにらんでの協調も欠かせない。
この地域で日本の経済力は抜きんでた存在であり、韓国も技術力などでそれに次ぐ。巨大市場の中国は世界の生産基地であり、軍事力も大きい。3カ国がしっかり意思疎通できれば、地域全体の平和と繁栄に好影響を及ぼすのだ。
当たり前の外交戦略なのに、なかなか前に進まなかった。歴史認識の問題がブレーキになってきた面が大きい。
8年前、当時の小渕首相が金大中韓国大統領と語らい、東南アジア諸国連合(ASEAN)との交流の場を利用して、おずおずと3首脳の朝食会をもったのが始まりだった。
今後は、ASEANの場を離れて、3カ国の協議の枠組みを発展させていくという。この流れを歓迎する。
その土台となったのは、中国との関係修復だ。首相は「年内、もしくは年始」に訪中する意向を表明した。続いて胡錦濤国家主席が訪日すれば、小泉時代のマイナスは完全に過去のものとなろう。
もちろん、中国側は歴史問題や台湾問題で日本にくぎをさしたし、東シナ海のガス田開発など懸案もある。中国の軍備増強や国際ルールにのっとった経済活動など日本側から注文すべき点も多い。
大事なのは、双方の指導者が信頼関係を培うことだ。両国の首脳には率直かつ建設的な交流を積み重ねてもらいたい。
思えばちょうど30年前、首相の父、赳夫氏はASEAN首脳会議に招かれたマニラで「福田ドクトリン」を表明した。アジアの国々との間に心と心が触れ合う関係を築きたい。その考え方は以後の日本のアジア外交の礎石となった。
首相も同じ東南アジアの地で、アジア外交の再構築に乗り出した。日中韓の基盤固めはその出発点だろう。
直前には訪米し、かねて唱える「強固な日米同盟とアジア外交との共鳴」を演出してみせた。福田外交はとりあえず順調に滑り出したと言える。
次の課題は米国、中国とどのような関係を築き、アジアにどんな繁栄と安定の構造を作り出すのか、具体的なビジョンを示すことだ。「新福田ドクトリン」を聞かせてもらいたい。
納得できないことばかりだ。軍需専門商社「山田洋行」や元専務との関係をめぐる額賀財務相の説明である。
きっかけは、額賀氏が2度務めた防衛庁長官時代の部下である守屋武昌・前事務次官の証人喚問だった。米国防総省の元日本部長との宴席に「額賀氏や元専務が同席していた」と語ったのだ。
これに対し、額賀氏は「記憶も記録もない」という。双方の言い分は真っ向から食い違っている。
どちらかがウソをついている可能性が高いが、ウソをつけば偽証罪に問われる証人喚問での守屋氏の発言は重い。「記憶も記録もない」という額賀氏の釈明に、にわかにはうなずけない。
額賀氏と山田洋行側の関係については、ほかにも次のような密接なかかわりが次々と明らかになっている。
計220万円分のパーティー券を山田洋行に買ってもらった。山田洋行オーナーの娘の結婚式の車代として20万円を元専務から受け取り、代理出席した額賀氏の妻が祝儀として返した。元専務とはゴルフや昼食勉強会をともにした。
額賀氏は否定しているが、仙台防衛施設局の発注工事をめぐって額賀氏側から口利きがあった、という証言もある。
政治家は常に多くの人に会う。そのなかに一部、不心得な業者が混ざっていても仕方がないではないか。額賀氏にすれば、そう言いたいかもしれない。
しかし、山田洋行との関係は、どう考えても度を超えている。さらに問題なのは、額賀氏と業者の常識はずれの関係は山田洋行にとどまらないことだ。
額賀氏は05~06年の2度目の防衛庁長官時代に4回、朝食勉強会のかたちでパーティーを開き、山田洋行の分を含め計5710万円を売り上げたという。
大臣規範では、閣僚など政府の要職についた政治家は「大規模な政治資金パーティーは自粛する」と定められている。特定の業者に資金面で世話になれば、行政の公正さを疑われかねないからだ。
それなのに、なぜパーティーを繰り返したのか。額賀氏は「100人前後の小規模なもので大規模ではない」と釈明しているが、1回あたり千数百万円もの売り上げのあるパーティーが「小規模」なのか。耳を疑うばかりだ。
額賀氏といえば、思い出すのは98年に1度目の防衛庁長官になってまもなく、装備品の代金を過大に払っていた背任事件の責任を取って辞任したことだ。
額賀氏は辞任の前に、装備品調達のチェック機能を強める改革に取り組んだ。その額賀氏が、防衛省・庁と5年間で174億円もの取引がある業者と、癒着といわれても仕方がない関係にのめり込んでいった。なんともひどい話である。
来年度の予算案づくりが迫っている。額賀氏がこのまま財務相として、防衛予算を含む予算編成に取り組んだ場合、国民の理解が得られるだろうか。事態はそれほど深刻なところまで来ている。
もう一つのイラク戦争についても、ラッド氏は「過ち」と明言し、イラクに駐留させる約1500人の豪軍の段階的撤退を主張した。まず約550人の戦闘部隊の引き揚げについて、米国と協議する意向だ。
先ごろの総選挙で政権交代したポーランドでも、トゥスク新首相が約900人の部隊をイラクから完全撤退させる方針を表明した。今回の豪州の政権交代を含め、ブッシュ米政権が打ち出した「有志連合」の凋落(ちょうらく)はもはや覆いがたい。