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Toshiro Shimura's Library tagged cell   View Popular

07 Mar 09

後藤弘茂のWeekly海外ニュース:なぜLarrabeeベースのPS4はハードルが高いのか

  • ●似て非なるCell B.E.とLarrabeeのアーキテクチャ

     SCEがCell B.E.の代わりにLarrabeeを使えないかと検討するのは、自然な流れでもあるし、皮肉でもある。というのは、Larrabee自体が、Intel版のCell B.E.だったからだ。

     同時期のPC向けCPUより1桁高い浮動小数点演算性能を実現するCell B.E.のアーキテクチャが明らかになった時点で、CPU業界は揺れた。その前の段階で、消費電力の壁やILP(Instruction-Level Parallelism)の壁のために、CPUコアをどんどん大きくして、ユニプロセッサの整数演算性能を高めて行く路線は崩れていた。そこで、Intelも大型CPUコアの開発計画を破棄、代わってCPUコア数を増やす方向へと転じた。Intelはその時、従来の大型汎用CPUコアを複数個に増やすマルチコア路線と並行して、Cell B.E.のようにデータ演算性能を追求した小型CPUコアを多数載せるメニイコア路線の開発もスタートさせた。その結果、産まれたのがLarrabeeだった。
     つまり、Cell B.E.が提示したスループットコンピューティングを、Intelなりのアプローチで実現しようとしたら、Larrabeeになった。そのため、Cell B.E.とLarrabeeには共通点も多い。データ演算に最適化しながらも汎用性を保った小さなCPUコア、各CPUコアに分散したローカルメモリ、CPUコア群を結ぶリングバスなどは、Cell B.E.とLarrabeeで共通している。
    - toshiro on 2009-03-07
  • ●アムダールの法則がCPUとしてのLarrabeeに疑問符をつける

     グラフィックス以外の部分に目を向けても、Larrabeeには疑問がつきまとう。ゲーム機のプロセッサをLarrabee一本に絞り、LarrabeeのCPUコアをゲーム機のメインCPUとして使う場合、単体プロセッサのシングルスレッドの実行性能が問題になるからだ。

     ゲームプログラム本体のコードは、OSのコードと同じように、整数演算中心で小さな範囲での並列しかできず、基本的には逐次実行しなければならないコードがほとんどだ。

     ゲームであっても、「アムダールの法則」(タスク中の逐次実行をしなければならない部分の比率が、タスク全体の実行時間を制約する)が生きている。そのため、逐次に実行しなければならないシーケンシャルなコード部分の性能がゲーム全体の性能を制約する。そしてそれは、単体のCPUコアのスカラ整数演算性能に依存する。

     ここで問題は、将来のゲームプログラムでも、逐次コードのパフォーマンスがどれだけ重要になるのか、読み切れないことにある。もしゲームでも、逐次処理の性能要求がある程度上がって行くのなら、将来のゲーム機向けCPUは、単体CPUコアの整数演算パフォーマンスもそれなりに向上させなければならない。
    - toshiro on 2009-03-07
  • ●Cell B.E.の採用にもハードルは高い

     いずれにせよ、Larrabeeをゲーム機のCPU+GPUとして採用することは、現状ではハードルが高そうだ。とはいえ、SCEにとって、低い開発コストで調達できるチップを求めていることは確かで、ジレンマは続く。

     ハードウェア的に考えれば、せっかく発展性を持たせて設計したCell B.E.の拡張版をPS4に採用するのが自然だ。かさむ一方のソフトウェア層の開発コストを考えても、Cell B.E.を継続した方が利点は多い。

     しかし、サードパーティのソフトウェアベンダーのCell B.E.に対する拒否感はかなり根強い。SPUを使い尽くすことは最初から諦め、マルチプラットフォーム向けに、Xbox 360と命令セット互換のPPUを中心に使っているベンダーも多い。PS3でのCell B.E.導入当初に、優れたコンパイラや教育体制を整えることができなかったつけが回っている。これで、プログラミングツールの専門家であるMicrosoftに対抗するのは辛い。

     SCEは、PS4にCell B.E.の拡張版を載せるなら、こうした暗雲を払拭する必要がある。プログラマ達を再びCell B.E.に向き合わせ、ハードウェア性能を活かすように鼓舞する必要がある。そうしない限り、例え、SPUの数を2倍に増やしても、あまり使われずに終わってしまいかねない。

     本来のSCEは、ここで、Cell B.E.にはこんな未来があると、ビジョンを広げて、デベロッパを惹きつけるテクニックがあった。デベロッパは、半ばウソだろうと思いながらも、引っ張られて難しいハードにチャレンジして行った(PS2の時がそうだった)。しかし、今のSCEはヴィジョンを提示するのがあまり上手くない。久夛良木健氏のように、そうした役回りの人物がいなくなってしまったためだ。SCEは、これからもハードウェアアーキテクチャの決定で迷うことになるだろう。
    - toshiro on 2009-03-07
  • ●ゲーム機がテクノロジドライバだった時代が終わる

     SCEがPS4の心臓部にLarrabeeも検討したことは、重要な転換を象徴している。それは、ゲーム機がテクノロジドライバとして、CPUやGPU、メモリの発展を引っ張る時代が終わりつつあることだ。これまでは、新奇なアプローチはゲーム機に導入され、PCはどちらかと言えば保守的なアプローチに留まることが多かった。ゲーム機はPCにない新技術をどんどん取り込んで技術革新をリードし、PCの方が後追いに回ることが多かった。ゲーム機とPCは、方向性が全く異なったのだ。

     例えば、初代PlayStation(PS)は、3Dレンダリングチップを採用。それが刺激となり、PCの3Dグラフィックス化が進み始めた。PS2では、PCの数倍の浮動小数点演算能力のEmotion Engineと、RDRAMのメインメモリ、ビデオメモリに組み込みDRAMを使ったGraphics Synthesizerを採用した。そして、PS3では、ヘテロジニアスマルチコアのCell B.E.と、3.2Gtpsの転送レートのXDR DRAMメモリなどを採用。CPU業界とメモリ業界にインパクトを与えた。その間、PC向けCPUは、粛々とCPUコアの大型化と、互換性を維持したメモリの進化を続けていた。

     PCの進化が大人しかったのは、レガシーの継承という重荷を抱えていたからだ。「既存のアプリケーションが、新しいCPUでより速く走らなければならない」。これがPC向けCPUが抱えていた荷物だった。対するゲーム機では、世代毎にソフトウェアがリセットされる。そのため、レガシーソフトを速く走らせるといった呪縛はなく、自由に優れた技術を取り入れることができた。
    - toshiro on 2009-03-07
  • しかし、IntelやAMDといったCPUベンダーは、2003~2004年にかけて方向を転換。レガシーをある程度犠牲にしても、純粋なCPU性能を向上させる方向へ向かうことにした。これまでとは違ったアーキテクチャや命令をどんどん追加、ソフトウェアはそれに対応しない限り性能を上げることができない、と言う割り切りを行なった。「フリーランチの終わり」と言われるこの変革で、CPUメーカーは自由なキップを手に入れた。そして、これまでゲーム機が独占して来た、先進的なテクニックの採用へと踏み切った。これが、今始まっている新潮流だ。

     そして、Larrabeeはその新潮流から出てきた最初のトライの1つだ。Larrabeeが市場で成功するかどうかはともかく、Larrabeeが象徴するものは大きい。それは、PCがこれまで呪縛から、ある程度脱却したことを示すからだ。過去のソフト資産に乗っかるのではなく、ソフトを変えて斬新な技術を積極的に採用しようとし始めている。

     おそらく、今後は、ゲーム機が、飛び抜けて新奇なアプローチで、技術革新を引っ張るというケースは消えて行くだろう。技術革新は、ゲーム機だけでなくPCの側でもさまざまなトライが行なわれ、それが横断的に波及するといった流れになるだろう。
    - toshiro on 2009-03-07
  • SCEがCell B.E.の代わりにLarrabeeを使えないかと検討するのは、自然な流れでもあるし、皮肉でもある。というのは、Larrabee自体が、Intel版のCell B.E.だったからだ。


     同時期のPC向けCPUより1桁高い浮動小数点演算性能を実現するCell B.E.のアーキテクチャが明らかになった時点で、CPU業界は揺れた。その前の段階で、消費電力の壁やILP(Instruction-Level Parallelism)の壁のために、CPUコアをどんどん大きくして、ユニプロセッサの整数演算性能を高めて行く路線は崩れていた。そこで、Intelも大型CPUコアの開発計画を破棄、代わってCPUコア数を増やす方向へと転じた。Intelはその時、従来の大型汎用CPUコアを複数個に増やすマルチコア路線と並行して、Cell B.E.のようにデータ演算性能を追求した小型CPUコアを多数載せるメニイコア路線の開発もスタートさせた。その結果、産まれたのがLarrabeeだった。

29 Sep 08

後藤弘茂のWeekly海外ニュース:PLAYSTATION 4は拡張版Cell搭載へ向かう

  • Cell B.E.開発費の償却は、PS3一世代ではなく複数世代で、PLAYSTATIONだけでなく他の機器への転用で、行なうことが初めから織り込まれていたと考えられる。例え、PS4のCell B.E.ではCPUアーキテクチャ自体に改良を施すとしても、ゼロから開発するよりは負担が小さい。SCEとしては、Cell B.E.を使い続けた方が望ましいことになる - toshiro on 2008-09-29
24 Jun 08

東芝、Cellベース「SpursEngine」搭載ノートPCを発売 - ITmedia News

  • 同プロセッサを搭載するのは、AV機能を重視した「Qosmio G50シリーズ」と「Qosmio F50シリーズ」。アップコンバート機能に加え、地上デジタル放送の録画時にH.264変換しながら録画することで、画質低下を抑えながら同社従来比で約8倍の約492時間録画する機能や、地上デジタル番組をDVDに書き込む際のエンコードを高速化してダビング作業時間を約半分に短縮する機能──などを備える。
  • SpursEngineはCellプロセッサの技術をベースに東芝が独自開発。Cellのプロセッサコア「SPE」(Synergistic Processor Element)×4個(1SPE当たり12GFLOPS)を搭載し、同社は「Quad Core HD Processor」と呼んでいる。
08 Jan 08

ITmedia +D LifeStyle:「Cellテレビ」、登場は意外に早い?

  • CellのAV機器実装について、現在の最大の課題は熱対策だという。Cellは90ナノプロセスルールで製造が開始され、現在はより発熱が少ない65ナノへのシュリンクが進められている。今回のデモ機材は90ナノプロセスルールのCellにて動作しているが、プロセッサパワーに余力を残した状態でも冷却ファンが必要になるほどの発熱があるという。


     AV機器は静音性や耐久性がPCやゲーム機に比べ高いレベルで求められる。ただ、発熱については65ナノ版ならばかなり改善される可能性があり、その65ナノ版は2007年3月にIBMが生産を開始している。

23 Sep 07

「フルHD時代に向け原点に立ち戻った」--東芝、Cellベースの新プロセッサを公開:ニュース - CNET Japan

  • 今回のSpursEngineには4基のSPEに加え、MPEG-2とH.264方式のエンコードおよびデコード専用のハードウェアエンジンを搭載。PCI Express経由でホストCPUと連携し、効率的で柔軟な映像処理が可能となっている。また、大容量動画像データ処理に対応できるXDR DRAMの採用、小規模な回路設計による低消費電力化も特徴だ。
14 Sep 07

ソニー、東芝に先端半導体設備売却へ…MPU生産から撤退 : 経済ニュース : 経済・マネー : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

  • ソニーは、スーパーコンピューター並みの演算能力を持つセルの開発に数千億を投じたが、PS3の売れ行きが鈍く半導体事業の収益改善が遅れている。回路の微細化による量産にも巨額の設備投資が必要なため、ソニーは生産から撤退して負担を軽減し、ビデオカメラ用の電荷結合素子(CCD)など得意分野に集中する。
19 Nov 06

しぼむ夢の構想・「PS3」は結局普通のゲーム機なのか【コラム】 デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS

  • セルを搭載したPS3が計算パワーに余裕を持つときは、ネットワークを通じて計算処理を肩代わりし、要求された計算を処理してデータを戻す。ネットワークに接続されたすべてのPS3が巨大なコンピュータ群として個々のマシンを補い合い、全体としてハイパワーPCとして機能する。それによって、一定のペースでしか性能の向上が見られないコンピュータの性能を、一気にPS2の1000倍まで引き上げるというビジョンである。


     単なる新しいゲーム機ではなく、コンピュータのイノベーションに挑むこの分散コンピューティング構想が発表されたときの衝撃は大きかった。


     ただ、肝心のセルの開発は思ったように進まなかった。この当初の構想は段々と縮小され、分散コンピューティングの概念は結局は、セルのなかにコアを8個搭載するマルチコアが並列に作業をしてスーパーコンピュータ並の性能を引き出すというコンセプトまで縮小された。当初の構想は、もう過去の一種のペーパーウエアのようなものになったと考えられていた。







    東京ゲームショウで基調講演する久多良木氏=9月22日


     ところが、今年9月の「東京ゲームショウ」の基調講演で、久多良木氏はこのオリジナルの構想をまだ諦めていないことを明かにし、話はややこしくなる。その講演は、数年後にはPS3のセルの計算能力を使い、ネットワークを通じて劇的に性能を引き上げるようなアプリケーションの登場をにじませた内容だった。そのために基調講演の会場は、?マークでいっぱいの聴衆を生みだすことになった。

04 Aug 06

日本IBM、大和研究所でCellブレードサーバーをデモ

  • 大和研究所で開発されたオフィス環境でも使えるような小型スーパーコンピュータ「BlueGene/S Turbo」についても紹介。同氏は、「BlueGeneのカードは1枚で約700W、4枚のシステムで約3,000W消費する。BlueGene/Lでは斜め下から空気を吸気し、斜め上に排気を行なうエアフローだったが、BlueGene/Sでは直線的なエアフローを採用した。これにより、前者が温度16度の環境で65度だったものを、後者では温度35度の環境で68.3度に保つことができる。オフィス環境での運用に配慮した設計にした」とアピールした。
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