これはあまり知られてないことですが、『ガリヴァー旅行記』は、じつは『ロビンソン・クルーソー』のパロディとして書かれたのです。いや、ちょっとパロディとは違うかもしれない。すごく気に入ったからまねして書いたというよりも、むちゃくちゃ腹が立ったから喧嘩を売るために書いたんです。そういうつながりだと私は思っています。
(中略)
その『ガリヴァー旅行記』のいちばん最後の章に「さて、ここまでいろいろ我輩の冒険を読んでもらったが」というふうな終わりのセリフのようなのが書いてあって、「ところで我輩はここに紹介した国々に皆さんが行って領土にして、植民地にすることをおすすめしない」と書いてあるんですね。そこがデフォーに対する痛烈な喧嘩腰のセリフで、そこを読むと面白いわけです。「なぜなら植民地支配というのは武器をもっていないところへ鉄砲をもっていって族長を殺して、女を犯して、全員つかまえて財宝を全部盗んでくることだからである」と書いてあります。つまりそれが『ロビンソン・クルーソー』の思想だろう。おれはそれを認めない、という宣言のようなところがある。
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