This link has been bookmarked by 1 people . It was first bookmarked on 15 Mar 2008, by Toshiro Shimura.
-
15 Mar 08
-
任天堂のゲーム機「Wii」は、最速で2,000万台の出荷を達成した。その成功の秘訣は、任天堂自身が説明するように、まず最初にカジュアルゲーマー層をターゲットにしたことにある。ハードウェアゲーマーにアピールして、それから周辺のカジュアル層に広げるという従来のゲーム機の定石を崩した。定石通りに展開していたXbox 360は、1年先行していたにもかかわらず、Wiiが2,000万台に達した昨年(2007年)末の時点で1,770万台と、出荷台数でWiiに抜き去られてしまった。
しかし、おそらく任天堂の首脳部は、この成功を手放しでは喜んでいないだろう。どころか、危機感を持っているかもしれない。なぜなら、Wii戦略の第2ステップに当たる、Wiiにユーザーを定着させる部分が、明らかに追いついていないからだ。
Wiiは直観的な操作のコントローラという、わかりやすさと期待感で、新しいユーザーを引き込むことに成功した。Wiiで掘り起こした新ユーザーの多くは、従来ゲームをしていなかったか、ゲームから離れて久しかった層。コアゲーマー層のように、黙っていてもゲームをどんどん買って、ゲーム機を稼働させるユーザーではない。そのため、新ユーザー層をWiiに定着させ、Wiiを毎日起動し、Wiiのコンテンツを継続して利用させるための新しい方策が必要になる。それに失敗すると、Wii旋風は一過性のものとなり、中途で失速し、Wiiの大半は家庭でホコリをかぶってしまうことになりかねない。
-
Wiiチャンネル戦略の遅滞の原因は明瞭ではない。しかし、おぼろげに見えてくるのは任天堂のリソースの不足だ。任天堂は、Wii向けにマリオやゼルダのような従来型ゲームも開発し続け、Wii Fitのようなディスクメディアベースの新ゲームも創造し、ネットワーク経由のWiiチャンネルコンテンツも開拓しなければならない。それも、Wii本体のシステムソフトウェアのメンテナンスと拡張、互換性検証を行ないながらだ。従来のゲーム機と較べると、Wiiでは本体システムソフトの維持開発や互換性検証の負担もはるかに大きくなっているはずだ。リソースを大幅に増やさない限り、これら全てをまかなうことはできないが、そうした対応は日本企業が苦手とするものだ。
また任天堂は、企業としては、どうしても直接カネになる部分にリソースを割くことになるだろう。そうすると、直接の収入にならないタイプのWiiチャンネルアプリケーションにはリソースを割きにくい。それでも、本体の売れ行きが鈍っていれば、本体の付加価値を増すためにWiiチャンネルアプリにも力を入れるかもしれないが、本体が売れまくっている時には力を入れにくい。
そうなると、次の手として考えられるのは、ダウンロード型Wiiチャンネルアプリを、他社にもオープン化することだ。任天堂以外のベンダーに、ダウンロード型アプリを開発してもらい、それをWiiチャンネルとして提供する。
-
任天堂は、Wiiについては、当初から家庭で家族全員が触る、稼働率の高いマシンを目指した。そのために何が必要かをプロジェクトチームで検討し、ニュースや天気予報から始まって、ネットワーク経由での多彩なサービスやコンテンツを提供することが重要だと結論づけた。しかし実際には、任天堂1社ではリソースやノウハウの制約から、構想していたようなサービスやコンテンツをまかなうことができない。そこで、Wiiに対して、非ゲーム会社を含めた他社がビジネスできる枠組みを設けることにした。
任天堂は、このプレゼンテーションの最後で、WiiWareのライセンシーの募集を呼びかけ、ライセンス窓口のメールアドレスを公開した。ゲームに詳しいライターの小野憲史氏は「ここでメールアドレスを公開するというのが、今まで、任天堂がやって来なかったこと」と指摘する。今回のWiiWareで、任天堂のオープン度が前進したことが、こうした部分からも伺える。
門戸を開け、他業種も含めて多くのコンテンツ&サービス提供者を集める。それが、任天堂の新戦略だ。任天堂も、限定された範囲ではあるが、PCの発展の図式を取り入れようとしていることがわかる。つまり、サードパーティのソフトウェアやサービスが花開くことで、プラットフォームが繁栄するという図式だ。
この戦略が成功するかどうかは、任天堂が本当にどれだけ門戸を開くことができるかどうかにかかっている。言い換えれば、Wiiにユーザーを定着させ、真に家庭に融け込んだマシンにするというWiiの本当の目的を達成できるかどうかは、任天堂がオープンに変身できるかどうかにかかっている。
-
現行のWiiハードウェアの難点の1つは、ローカルストレージであるNANDフラッシュの容量が少ないこと。512MBと限られた量しか搭載されていない。この問題は、任天堂がWiiWareのようなコンテンツ配信を拡充すればするほど障壁となる。
もちろん、そのために任天堂はWiiWareコンテンツの容量を制約したり、起動時に自動解凍するプログラムファイル圧縮機能を実装したり、内蔵フラッシュからSDフラッシュメモリカードへのコンテンツ待避をサポートしたり、削除したコンテンツの再ダウンロードが可能なようにしている。だが、いずれも根本的な解決ではなく、Wiiのローカルストレージの制約は大きい。
-
WiiがローカルストレージにNANDフラッシュを選んだこと自体に問題があるわけではない。NANDフラッシュは現在、1年から1年3カ月で倍々のペースで容量を増大しつつある。そのため、任天堂はコストはそのままで、ストレージの容量を倍増させて行くことができる。
Wiiの発売前、部材調達時に最もビット当たりの単価が安かったNANDフラッシュチップは4Gbits(512MB)品だった。だから、コストセンシティブなWiiのストレージは512MBだったと推測される。しかし、発売から2年目の今年(2008年)は、NANDでビット単価が最も安いチップは16Gbits(2GB)品だ。512MBと同じコストで2GBが載せられることになる。4Gbits品の価格はほぼ下げ止まっているため、16Gbits品に切り替えても4倍のコストにならない。16Gbits品をサポートするには、NANDコントローラ側の制御ロジックを変更する必要があるが、Wiiほど量が出ていれば充分コスト面で見合うだろう。
-
Would you like to comment?
Join Diigo for a free account, or sign in if you are already a member.