つまり本当は単なる野次馬根性で殺人事件のニュースを観ている人たちも、「こんなひどい事件は信じられない」「世の中が悪くなっている」と詠嘆してみせて、社会正義を希求しているふりをすることができるのだ。古舘伊知郎キャスターや「ニュースゼロ」の村尾信尚キャスターの深刻そうなしかめ面は、そうした社会正義を保つための共同幻想装置の補助デバイスになっているのだ。
しかしこの共同幻想装置は、いまや崩壊し始めている。マスコミの裏側がよく見えるようになり、インターネットにおける対抗言論の登場が、その状況に拍車をかけた。この結果、テレビのカメラに対しても自分の生身のエゴと同じような野次馬根性が見えてしまうようになってきて、甘ったるい生クリームははげ落ちつつある。人々はマスメディアのカメラに、一般の人の撮影と同じぐらいの不快感を抱くようになったのだ。
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