次に美術。
先生はまず、紙にフリーハンドで直線を引く練習をさせた。
これはかなり感謝しているのだが、その後の人生でこの、フリーハンドで直線を引ける技術は役に立った。(例えば数学のグラフ)
そして立方体のデッサンをさせた。
みんな斜めの立方体は描ける。でも先生は正面から描いてみろと指示した。
僕も含めてクラスの8割は「日」みたいな正方形を2つくっつけたDSマークみたいな絵を描く。自分たちでも何かおかしいと思う。
そこで先生は、上の正方形は実は台形に描くんだよ、と教える。ほらよく見てごらん、目の前の立方体もそうなってるだろ?
本当だ!みんなびっくりした。少なくとも僕はびっくりした。
理解できない子には写真を上からなぞらせてみたら理解した。(この時、僕はあまりに潰れた台形であることに再度びっくりする。)
そこから先生は、人間の目は見たものを補正していること、上手い絵(正確に言えば写実的な絵)は見たままを補正しないで紙に写し取ることだということを教えた。
ピカソの絵を紹介して(みんな爆笑はしなかった)この絵は世界から賞賛されていること、彼は本気で描けば上手い絵が描けるのだということ(今思うと凄い言い草だ)、芸術っていうのはまず技術があってからその上に乗るものってことを教えてくれた。
小学生の下手な絵を独創的と絶賛する大人は自分のノスタルジックに浸りたいだけで、その子の絵の上達のことなんか何も考えていないんだという趣旨のことも言った(これは言いすぎだと思うw)
写実的な絵を目標に、少なくとも僕は絵を描くのが好きになった。
小学生にしては上手かったと思うし、その後の人生である程度役に立った。
最後に習字だけども、これは本当に技術のみだった。
そもそも、習字なんかその道を目指す人以外、芸術性も独創性もいらないと思うし、きっと先生もそう思っていた。(その道の子は学校以外で習っちゃうしね)
そんなことより単純に綺麗な字が書けるほうが、その子の未来のためになる。
先生は大きめの筆とバケツを教壇に置き、水をつけた筆で黒板に字を書くという方法で技術を教えた。(知っての通り黒板は濡らすと濃い色に変色する。なかなか分かりやすかった。)
まず一文字。常に筆が斜めになっていて、平行移動させ、回転させてはいけないことが重要。最後に一瞬止めるのがコツだった。
みんなで横一文字を沢山書く。
次に縦線、払い、跳ね、横線が沢山あるときの間隔の空け方・・・。
ペン字との違いも教えてくれた。
今思うと、先生は習字なんかよりペン字のほうが生徒のためになると思っていたし、そっちを教えたかったのかもしれない。
僕は小学生の時から、凄い人と、好きな人は別、という嫌な子供だったのだけど、その先生は好きじゃないけど凄い人の最たるものだった。
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